「小田原にはこんなに素敵な人たちがいっぱい住んでいます」
濃密な数ヶ月を過ごした22人が、その成果と体験をシェアする舞台。/「劇場留学~『モモ』と音楽の旅~」
小田原三の丸ホール
小田原の象徴ともいえるお城やお堀の向かい側にそびえ立っている、スタイリッシュで威風堂々とした建物・小田原三の丸ホール。
2021年に開館して以降、話題のステージや地域に根ざした事業など、さまざまな企画の会場として親しまれている、小田原の新しい文化芸術拠点です。
その三の丸ホールの文化事業として、ここ数年行われているのが『劇場留学』。
劇場をより開かれたものにしたいという思いからはじまったこの企画。未経験者でも応募できる、一般参加型の〈演劇ワークショップ〉がベースとなっています。
1年目は、〝7日間でお芝居をつくる〟ことをテーマに、小学校中高学年の子どもたちと日本語を母語としない外国人の方たちを対象に開催。発表というかたちで公演も行いました。
2年目は、よりステップアップしたもの、また「題材のあるものでお芝居をつくりたい」という声にも応えて、ミヒャエル・エンデの名作『モモ』を舞台化。ゴールを劇場公演と定めてワークショップを進めていき、ステージも成功を納めました。
そして3年目にあたる今年は、同作品『モモ』を、今度はガラリと角度を変えて〝劇場エンターテインメント〟として上演するという、新たな試みに挑戦しています。
小田原に暮らす人たちと劇場のプロたちがタッグを組み、時間をかけて育て、つくりあげていく、唯一無二のステージ。
そんな今年の『劇場留学』の様子と、舞台「劇場留学~『モモ』と音楽の旅~」について、今回は紹介したいと思います。
2021年に開館して以降、話題のステージや地域に根ざした事業など、さまざまな企画の会場として親しまれている、小田原の新しい文化芸術拠点です。
その三の丸ホールの文化事業として、ここ数年行われているのが『劇場留学』。
劇場をより開かれたものにしたいという思いからはじまったこの企画。未経験者でも応募できる、一般参加型の〈演劇ワークショップ〉がベースとなっています。
1年目は、〝7日間でお芝居をつくる〟ことをテーマに、小学校中高学年の子どもたちと日本語を母語としない外国人の方たちを対象に開催。発表というかたちで公演も行いました。
2年目は、よりステップアップしたもの、また「題材のあるものでお芝居をつくりたい」という声にも応えて、ミヒャエル・エンデの名作『モモ』を舞台化。ゴールを劇場公演と定めてワークショップを進めていき、ステージも成功を納めました。
そして3年目にあたる今年は、同作品『モモ』を、今度はガラリと角度を変えて〝劇場エンターテインメント〟として上演するという、新たな試みに挑戦しています。
小田原に暮らす人たちと劇場のプロたちがタッグを組み、時間をかけて育て、つくりあげていく、唯一無二のステージ。
そんな今年の『劇場留学』の様子と、舞台「劇場留学~『モモ』と音楽の旅~」について、今回は紹介したいと思います。
「バリバリ働いている世代」の大人たちと、
「とにかく元気」な子どもたち。
演出家・川口智子さん
演出は、初年からずっと『劇場留学』に関わっている川口智子さん。
全国各地のホールや自治体と組んで活動してきた川口さんから見て、小田原には他とは違う様々な特徴があるといいます。
20名ほどの枠のオーディションには、同様の事業としては異例といえる60名もの人が応募。
大半が地元の人であり、その多くが演劇自体初めてというのも、川口さんには驚きでした。
応募者の比率としては、大人と子どもが半々。
一般的には、こうした事業に手をあげるのは比較的自由な時間のある人が多いそうですが、小田原はいわゆる「バリバリ働いている世代」が圧倒的。
一方で子どもは「とにかく元気」。「素晴らしいことだと思うんですけど、まあうるさいです」と笑います。
共通して、〝かっこよくいたい〟人が多いとも感じているそう。
その分失敗に飛び込むまでに時間がかかって大変としながらも、「でも、いいことなので。じゃあ本当にかっこいい姿見せてよ、みたいな意地の張り合いをしています(笑)」。
全国各地のホールや自治体と組んで活動してきた川口さんから見て、小田原には他とは違う様々な特徴があるといいます。
20名ほどの枠のオーディションには、同様の事業としては異例といえる60名もの人が応募。
大半が地元の人であり、その多くが演劇自体初めてというのも、川口さんには驚きでした。
応募者の比率としては、大人と子どもが半々。
一般的には、こうした事業に手をあげるのは比較的自由な時間のある人が多いそうですが、小田原はいわゆる「バリバリ働いている世代」が圧倒的。
一方で子どもは「とにかく元気」。「素晴らしいことだと思うんですけど、まあうるさいです」と笑います。
共通して、〝かっこよくいたい〟人が多いとも感じているそう。
その分失敗に飛び込むまでに時間がかかって大変としながらも、「でも、いいことなので。じゃあ本当にかっこいい姿見せてよ、みたいな意地の張り合いをしています(笑)」。
また、川口さんが今回仮説として検証したいと思っているのが、〝移住組〟の多さについて。
小田原の移住者の母数を踏まえても、この傾向は他の地域にはないものと断言。
「もしかしたら、小田原のディープなところに参加するにはまだ勇気がいる、でも〝何かを人と一緒にやってみたい〟〝何かのコミュニティに出会いたい〟といった人が、新しいパブリックである三の丸ホールの事業ならと、参加しやすいのかもしれない」と考察しています。「もし、そういうひとつの出会いの場として機能しているのであれば、それはすごく嬉しいです」
小田原の移住者の母数を踏まえても、この傾向は他の地域にはないものと断言。
「もしかしたら、小田原のディープなところに参加するにはまだ勇気がいる、でも〝何かを人と一緒にやってみたい〟〝何かのコミュニティに出会いたい〟といった人が、新しいパブリックである三の丸ホールの事業ならと、参加しやすいのかもしれない」と考察しています。「もし、そういうひとつの出会いの場として機能しているのであれば、それはすごく嬉しいです」
「結局、その人が持つ経験からでしかつくれない」
〝遊び〟の中からお芝居を発見するのが、『劇場留学』のスタイル。
9月にスタートした、今年の『劇場留学』。
長い期間の毎週末、大人も子どもも同じ場に集い、濃密な時間を過ごしてきました。
といっても、演劇を学ぶ稽古場といったイメージとは違い、取り組み続けたのは〝遊び〟と〝いかに理解していくか〟ということ。
「自分が自分でない人を演じなければいけないとき、結局、その人が持つ経験からでしかつくれない」というのが川口さんの持論。
例えば、会議の場面に取り組む前に、まず〝会議〟という遊びをみんなでやる。裁判の場面の前に、〝裁判〟の遊びをやってみる。
それをシーンに置き換えるとこうなるね、という風に稽古は展開します。
必ず全員が関わるかたちで、その体験を模擬的にやってみる。
「遊びの中からお芝居を発見していく」のが、初年から続けてきた『劇場留学』のスタイルでした。
長い期間の毎週末、大人も子どもも同じ場に集い、濃密な時間を過ごしてきました。
といっても、演劇を学ぶ稽古場といったイメージとは違い、取り組み続けたのは〝遊び〟と〝いかに理解していくか〟ということ。
「自分が自分でない人を演じなければいけないとき、結局、その人が持つ経験からでしかつくれない」というのが川口さんの持論。
例えば、会議の場面に取り組む前に、まず〝会議〟という遊びをみんなでやる。裁判の場面の前に、〝裁判〟の遊びをやってみる。
それをシーンに置き換えるとこうなるね、という風に稽古は展開します。
必ず全員が関わるかたちで、その体験を模擬的にやってみる。
「遊びの中からお芝居を発見していく」のが、初年から続けてきた『劇場留学』のスタイルでした。
また今年の特徴として、「すごい総力戦になってきた」と川口さん。
「自分はセリフ少ないなと思っていた人も、気がついたら2時間のうちほとんど出ているのではないか、みたいなことになっています」
しかも自身の役を演じるというより、〝いかにその集団にコミットしていくか〟〝何をやり続けるか〟が問われているという今回。
全員がそれぞれに物語を理解した上で、全体としての世界観を描き出していく。
「みんな演劇初めてだったりするのに大変だな、と思って見てます(笑)」
公演日が近づき、シーンごとの確認をするようになってきても、「こういう時にはどうなるの?」「お芝居って何なの?」など、禅問答のようなやりとりを続けているそう。
「自分のどこのセンサーを使ったらいいんだろうみたいなことを、ずっと個人個人に探してもらっています」
「自分はセリフ少ないなと思っていた人も、気がついたら2時間のうちほとんど出ているのではないか、みたいなことになっています」
しかも自身の役を演じるというより、〝いかにその集団にコミットしていくか〟〝何をやり続けるか〟が問われているという今回。
全員がそれぞれに物語を理解した上で、全体としての世界観を描き出していく。
「みんな演劇初めてだったりするのに大変だな、と思って見てます(笑)」
公演日が近づき、シーンごとの確認をするようになってきても、「こういう時にはどうなるの?」「お芝居って何なの?」など、禅問答のようなやりとりを続けているそう。
「自分のどこのセンサーを使ったらいいんだろうみたいなことを、ずっと個人個人に探してもらっています」
こんなにも楽しんで、こんなにも大変なことを人間はできるのか。
「〝人〟を見に来てください」
今年の『モモ』の特徴は、何といっても、前回とはガラリと趣向を変えた、振り切ったエンターテイメント。
「音楽もバンバン入れるし、踊りもキャッチー。とにかくお客さんにも楽しんでもらって、でも終わった後に、あれ?もしかしたらすごく怖いような場面があったかもしれない、あの灰色の男たちは何なんだろう、みたいに感じてもらえるようなものになれば」
劇場に訪れた人には、まず「これみんなノンプロの人たちなの!?」と驚いてもらいたいといいます。
そして「こんなにも楽しんで、こんなにも大変なことを人間はできるのか、ということも見てもらえたら」。
「音楽もバンバン入れるし、踊りもキャッチー。とにかくお客さんにも楽しんでもらって、でも終わった後に、あれ?もしかしたらすごく怖いような場面があったかもしれない、あの灰色の男たちは何なんだろう、みたいに感じてもらえるようなものになれば」
劇場に訪れた人には、まず「これみんなノンプロの人たちなの!?」と驚いてもらいたいといいます。
そして「こんなにも楽しんで、こんなにも大変なことを人間はできるのか、ということも見てもらえたら」。
濃密な数ヶ月を過ごした22人が、その成果と、得た体験そのものもシェアする時間となる、最後のステージ。
「本当に、〝人〟を見に来てください」と川口さん。
「小田原にはこんなに素敵な人たちがいっぱい住んでますっていうのも含めて、楽しんでいただきたいです」
「本当に、〝人〟を見に来てください」と川口さん。
「小田原にはこんなに素敵な人たちがいっぱい住んでますっていうのも含めて、楽しんでいただきたいです」
「劇場留学~『モモ』と音楽の旅~」
https://ooo-hall.jp/event/20260327-29.html
日時|2026年3月27日(金)19:00 / 28日(土)14:00・18:00 / 29日(日)14:00
会場|小田原三の丸ホール 小ホール
https://ooo-hall.jp/event/20260327-29.html
日時|2026年3月27日(金)19:00 / 28日(土)14:00・18:00 / 29日(日)14:00
会場|小田原三の丸ホール 小ホール